ソウルで脂肪幹細胞によるしわ治療を考える方へ:根拠からわかること、わからないこと
ご自身の脂肪から採取した細胞を肌に注入する施術は、顔全体の小じわとキメの改善を目的に行われます。ただ、効果を裏づける研究はまだ少なく、方法もまちまちなため、効果の大きさや持続期間を言い切るのは難しいのが現状です。系統的レビューはおおむね、安全な施術とは考えられるものの、肌質の改善効果ははっきりしない、またはさらに確認が必要だとまとめています。表情じわ、深く刻まれたしわ、たるみのように原因の違うお悩みには別の方法が合うこともあるため、まずご自身のしわの種類を見分け、期待を現実的に定めることが大切です。ソウルでの施術をご検討中の方は、先にお写真を送っていただくと、お悩みに合うかどうかを相談できます。

脂肪幹細胞によるしわ治療とは、どんな施術でしょうか
ご自身の体の脂肪から得た細胞を、顔の肌に少量ずつ分けて入れ、顔全体の小じわときめの改善をめざす施術です。ボニータクリニックではこの方法のしわ改善プログラムを行っており、カウンセリングでは目元・口元・額のように細かいしわが気になる部位と、肌のきめ・トーンをあわせて見ます。
ただし、この施術を裏づける研究はまだ少なく、方法も研究によって違います。そこでこのガイドでは、まずご自分のしわの種類を見分け、研究がどこまで示しているか、ほかの方法と何が違うかを順に説明します。
しわはなぜでき、どんな種類があるのでしょうか
しわの原因はひとつではありません。日差しをはじめとするさまざまな要因で、肌のコラーゲン線維(肌を支えるたんぱく質の線維)や弾性線維が変化すると、肌の水分が減り、弾力が落ちてしわができます。毎日の表情もしわをつくり、年齢とともに肌を保つ働きが衰えることも原因です。遺伝的な素因、喫煙、肌の色も影響し、色白の肌ほど日差しの影響を受けやすく、しわがはっきりしやすい傾向があります。
原因が違えば、合う方法も違います。同じ「しわ」でも、次のように分けてみると、まず考える治療が変わってきます。
しわの種類によって、まず考える方法
1顔全体の小じわ、きめの粗さ
紫外線対策と肌治療が土台です。この施術もここをねらいます
紫外線対策・肌治療
2笑ったり眉をひそめたりするとできるしわ
同じ筋肉のくり返しの動きが原因なので、動きを抑える注射がより直接的な場合があります
ボトックス
3深く刻まれたしわ、くぼんだ頬・額
ボリュームの減少が原因なので、満たす治療をまず考えます
脂肪移植など
4フェイスラインや首のたるみに伴うしわ
皮膚と筋膜のたるみが原因なので、リフトアップを検討します
リフトアップ
このガイドで扱う「脂肪幹細胞によるしわ治療」は、このうち1枚目のカード、つまり顔全体の小じわときめをねらう施術です。表情じわやたるみの代わりになる治療ではない、という点をまずはっきりさせておきます。
「脂肪幹細胞」と呼ばれるものは何でしょうか
皮下脂肪には、脂肪細胞のほかに、血管のまわりのさまざまな細胞が含まれています。脂肪細胞を除いた細胞成分を間質血管細胞群(SVF)といい、そこに脂肪由来の幹細胞(幹・間質細胞)が含まれます。5 SVFは、脂肪を処理して脂肪細胞以外の細胞を集めたものです。
脂肪由来の材料を肌に使う方法は、研究によって異なります。
- ナノファット:脂肪を洗ってから機械的に細かく砕いてなめらかにし(乳化)、ろ過したもの。専門家の合意で、洗浄、20〜30回の乳化、ろ過を経るものとして初めて定義が整理されました。4
- 細胞SVF:酵素で脂肪組織を溶かし、細胞成分だけを集めたもの5
- 培養した脂肪幹細胞や、細胞を育てた培養液を使う研究もあります。培養とは、細胞を実験室で育てて数を増やすことです。2
どれも「幹細胞」と呼ばれがちですが、入るものと処理の過程が違います。そのため、研究結果をまとめて比べるのが難しくなっています。12
研究はどこまで示しているのでしょうか
根拠はまだ少なく、方法はまちまちで、結論も一致していません。判断の前に、まずこの点をはっきりお伝えします。
顔への脂肪移植・SVF・ナノファットが肌質に与える効果を調べた系統的レビュー(決められた方法で関連する研究を漏れなく集めてまとめた研究)は、9本(301人)の研究をまとめました。8本が弾力の向上、きめの改善、より均一な肌色を報告した一方、1本では弾力の向上がみられませんでした。皮膚の組織検査(皮膚の小片を顕微鏡で調べる検査)で改善の所見を示した研究もありました。
しかし研究ごとに測る基準が違うため、メタ解析(複数の研究の数字をまとめて計算し直す分析)はできず、根拠の水準は全体として低いものでした。著者らは、これらの施術が顔の肌質を改善するとはほとんど言えないものの、安全な施術とは考えられると結論づけています。1
2025年の系統的レビューは、SVF、脂肪幹細胞、その培養液などを使った17本の研究を分析しました。一部の研究で目元やほうれい線のしわが減ったと報告された一方、培養液を使った2本をまとめたメタ解析では、しわの減少に統計的な有意差がありませんでした(P=.12)。減ったと確信できるほどの差ではなかったということです。色素の変化の結果も一貫していませんでした。
同じレビューで、レーザーや多血小板血漿(PRP、ご自身の血液から血小板を集めたもの)を併用した場合は、SVF単独よりよい結果が出ていました。追跡期間は3週間から12か月までまちまちで、比べる対照群がない研究や、主観的な評価に頼る研究も多くありました。そのため、標準化した方法で多くの人をくじ引きのように無作為に分けて比べる試験が必要だとまとめています。2
ボリュームを補う顔の脂肪移植についての系統的レビューでも、SVFやPRPを加えた移植が脂肪だけの移植より優れるという利点は確かめられませんでした。3 ナノファットについても、再生の可能性は期待されるものの、ほとんどの用途でしっかりした臨床的根拠が不足しているというのが専門家のまとめです。4
研究で報告されていること
- 一部の研究で弾力・きめ・トーンの改善
- 皮膚の組織検査で一部改善の所見
- レーザーなどとの併用でよりよい結果
- 対象研究で重い合併症の報告なし
まだ確かめられていないこと
- どの細胞・処理方法が効くのか
- 効果の大きさ(2本のメタ解析は有意差なし)
- 何回、どの間隔がよいのか
- 効果がどれくらい続くのか
- ふつうの脂肪移植より優れるのか
上の整理は、系統的レビューの結果をまとめたものです。123 脂肪から得た細胞を肌に入れる施術では「きめがよくなるかもしれない」という報告はあるものの、効果の大きさ、持続期間、最善の方法はまだ確かめられていません。結果には大きな個人差があり、目に見える変化がないこともあります。
細胞の得かたと規制はどう違うのでしょうか
脂肪から細胞を得る方法は、大きく2つに分かれます。
酵素(コラゲナーゼ)で脂肪組織を溶かして細胞だけを分離する方法は、多くの国で「最小限の操作を超える処理」とみなされます。そのため、たいていは管理された臨床試験の中で、規制当局の審査を受けて使われています。酵素を使わずに機械的に脂肪を細かくする方法は、こうした負担を減らし、手術中に一度で処理できるようにする目的で開発されてきました。5
規制の基準は国によって異なります。「幹細胞」と名のつく施術を相談するときは、細胞をどのように得て処理するのか(当日処理か、培養か、酵素を使うか)と、その方法にどんな根拠があるのかを尋ねてみるとよいでしょう。
ほかの方法と何が違うのでしょうか
しわの種類によって違う方法
| 方法 | おもな悩み | 方法の中身 | 知っておきたい点 |
|---|---|---|---|
| 脂肪幹細胞の施術 | 顔全体の小じわ・きめ | 自分の脂肪から得た細胞を肌の複数の層に少量 | 効果の根拠が少なく、研究ごとに方法が違う |
| ボトックス | 表情を動かすとできるしわ | 筋肉の一部に少量を注射 | 筋肉の動きを抑える方法 |
| 毎日の日焼け止め | 日差しによる肌の老化 | 広い波長を防ぐ日焼け止めを毎日 | 無作為化試験で老化の進みが遅くなった |
ボトックスは筋肉に注入して動きを抑える方法で、表情を動かすとできるしわに向いています。脂肪幹細胞の施術は、肌のいくつもの層に少量ずつ入れて、小じわときめを扱おうとする方法です。2つの施術は、ねらう対象が違います。
どの施術を選ぶにしても、土台になるケアがあります。オーストラリアで903人を無作為に分けた試験では、広い波長を防ぐ日焼け止めを毎日塗ったグループは、必要なときだけ塗ったグループに比べ、4.5年間の肌の老化の進みが24%少なくなりました。6 シンプルな方法ですが、無作為化試験で確かめられた根拠があり、施術を選ぶ前にまず取り入れておきたいものです。
施術の流れと回復はどうでしょうか
ボニータクリニックでは、幹細胞によるしわ改善を非手術の施術として行い、局所麻酔または静脈麻酔を用い、当日帰宅です。脂肪を採取した部位には抜糸があります。回復期間と通院日程は、施術の範囲と体の状態によって異なります。
- 注射部位のあざや腫れは、たいてい自然に引きます。
- 施術後はサウナや激しい運動を避けるのがよいでしょう。
- 喫煙と飲酒は施術後1週間ほど控えてください。
脂肪を使う施術では、あざ・血腫(血がたまって固まること)、脂肪がかたまったりオイルシストができたりする脂肪壊死、不均一な定着が報告されています。ボリュームを補う顔の脂肪移植の研究では、合併症は全体で6%(あざ・血腫5%、脂肪壊死・オイルシスト2%、不均一2%)でした。3
肌質の研究では重い合併症は報告されていませんが、1 研究の規模が小さいことも考え合わせる必要があります。脂肪を採取した部位にも、あざや腫れが出ることがあります。顔に脂肪を入れるときにまれに起こりうる血管の合併症は、口元突出の脂肪移植のガイドにまとめています。
ボニータクリニックの考え方
ソウルで相談できる治療の選択肢
ボニータクリニックは1995年の開院以来同じ場所で診療しており、ブラジルの形成外科専門医であるチョン・グァンソプ代表院長が自ら診療します。小じわときめについてカウンセリングで相談できるのは、次のような内容です。
- 上で説明した幹細胞のしわ改善プログラム(回数は経過を見て決定)
- おもな悩みがたるみなど、ほかの方法(リフトアップなど)のほうが合うかどうか
- 弾力やきめがおもな悩みの場合の、クリニックで行うレーザー治療(エレビティなど)
どれが合うか、どの順番で行うかは、診察の後に決まります。
方法と費用が人によって変わるのはなぜでしょうか
同じしわ治療の相談でも、必要な計画はかなり違います。施術する部位と回数が、計画と費用を左右します。
- 部位:目元・口元・額、または顔全体
- 回数(1〜3か月間隔で実施)
- 麻酔:局所麻酔または静脈麻酔
- ご自身の脂肪の採取
- レーザーなどほかの治療との組み合わせ
- 最近のフィラー・ボトックス・レーザー
対面診察の後、最終的な計画と費用をご案内
最終的なお見積もりは、対面診察で部位とおおよその回数がはっきりしてからご案内します。
写真でわかること、対面診察が必要なこと
写真はしわの種類を見分ける手がかりになります。ただ、肌の厚さやゆるみ、この施術が合うかどうかは対面での診察が必要です。
写真でわかること
- 無表情のときに見える小じわの位置
- 笑ったり眉をひそめたときのしわ
- 均一な光で見た全体のきめとトーン
- 別の治療が向くくぼみやたるみ
対面診察が必要なこと
- 肌の厚さとゆるみ
- 表情じわか、動かなくても残るしわか
- その部位への以前のフィラーや治療
- 採取できる脂肪の量
- 持病と服用中の薬
役に立つ写真は、無表情のときと笑ったときの顔を、正面と左右から、メイクを落として均一な自然光で撮ったものです。気になる部位の近接写真もあると参考になります。写真と気になる部位、最近の治療歴をメッセージでお送りいただけます。
来院と回復の計画
事前に確定しているのは上の施術情報、つまり局所麻酔または静脈麻酔による非手術の施術、当日帰宅、脂肪採取部位の抜糸があることまでです。このプログラムは1〜3か月の間隔で行うため、複数回の施術を一度の短い滞在で終えることはできません。何回の施術、つまり何回の来院が合うかは、カウンセリングで相談します。
日程にはあざや腫れの期間を見込み、施術後はサウナや激しい運動を避け、1週間ほどは喫煙と飲酒を控えてください。帰国後、赤み・痛み・腫れ・しこりが引かずに強くなる場合は、早めに医師に相談してください。施術部位の写真を日付入りで残しておくと、変化を判断するのに役立ちます。
よくある質問
効果はいつ、どのくらい出ますか?
個人差があります。研究でも効果の大きさや現れる時期は一定でなく、はっきりした改善がなかったという結果もあります。ボニータクリニックでは経過を見ながらプログラムと周期を調整します。どんな変化を望んでいるかを、カウンセリングで具体的に話し合っておくとよいでしょう。
ボトックスと何が違いますか?
ボトックスは筋肉に注入して動きを抑える方法です。脂肪幹細胞の施術は、肌のいくつもの層に少量ずつ注入して、きめと小じわを扱おうとする方法です。笑ったり眉をひそめたりするときのしわがおもな悩みなら、ボトックスのような方法のほうが直接的なことがあります。
何回受ける必要がありますか?
ボニータクリニックでは1〜3か月の間隔でご案内し、回数は経過を見て決めます。研究では、最適な回数や間隔はまだ決まっていません。
副作用はありますか?
注射部位と脂肪採取部位に、あざ、腫れ、一時的な違和感が出ることがあります。脂肪がしこりになったり不均一に定着したりすることも報告されています。持病や服用中の薬(とくに血液をサラサラにする薬)は、カウンセリングでお知らせください。
以前の施術歴は伝えたほうがよいですか?
はい。最近受けたフィラー・ボトックス・レーザーとその時期を教えていただくと、施術する部位と時期を決めるのに役立ちます。
相談前に準備しておくとよいこと
- 気になる部位(目元・口元・額など)と、きめ・小じわ・トーンのどれを優先したいか
- 最近のフィラー・ボトックス・レーザーとその時期
- 無表情と笑顔の写真(表情じわか、動かなくても見えるしわかの区別に役立ちます)
- あざや腫れを見込んだ日程、服用中の薬と持病
ボニータクリニックはソウル市瑞草区江南大路565 3階、地下鉄7号線論峴(ノンヒョン)駅8番出口から徒歩約100mです。プログラムの詳しい内容は幹細胞としわ改善のページでご覧いただけます。たるみとボリュームをあわせて扱う方法はマルチリフティング、肌の弾力を扱うレーザーはエレビティとエレビティのガイドにまとめています。
参考資料 (6)
本文の説明の根拠となる資料です。研究結果は一般的な傾向であり、個人の結果を保証するものではありません。
- van Dongen JA, Langeveld M, van de Lande LS, et al. The Effects of Facial Lipografting on Skin Quality: A Systematic Review. Plast Reconstr Surg. 2019;144(5):784e-797e.doi:10.1097/PRS.00000000000061479本・301人の系統的レビュー(抄録):脂肪移植・SVF・ナノファットの後に弾力・きめ・肌色の改善を報告する研究が多いが、根拠の水準が低く統合できない。肌質を改善するとはほとんど言えないが安全な施術とは考えられるという結論
- Chon J, Randall SE, Schumann TA, et al. A Systematic Review of Adipose-Derived Cell Therapies on Skin Quality. Aesthet Surg J Open Forum. 2025;7:ojaf098.doi:10.1093/asjof/ojaf098脂肪由来細胞治療17本の系統的レビュー:一部でしわの減少、2本のメタ解析は有意差なし、色素の結果は一貫せず、併用はSVF単独よりよく、追跡期間・方法・評価がまちまち
- Groen JW, Krastev TK, Hommes J, et al. Autologous Fat Transfer for Facial Rejuvenation: A Systematic Review on Technique, Efficacy, and Satisfaction. Plast Reconstr Surg Glob Open. 2017;5(12):e1606.doi:10.1097/GOX.0000000000001606顔の脂肪移植18本・3,073人の系統的レビュー:合併症6%(あざ・血腫5%、脂肪壊死・オイルシスト2%、不均一2%)、SVF・PRPを加える利点は確認されず、根拠の水準は低い
- Arcani R, Velier M, Sabatier F, et al. Nanofat Use in Regenerative Medicine: A Systematic Literature Review and Consensus Recommendations from Expert Opinions. Facial Plast Surg Aesthet Med. 2025;27(6):469-480.doi:10.1089/fpsam.2024.0385ナノファットの系統的レビューと専門家合意(抄録):ほとんどの用途でしっかりした臨床的根拠が不足。洗浄・乳化・ろ過による初の定義
- Trivisonno A, Alexander RW, Baldari S, et al. Intraoperative Strategies for Minimal Manipulation of Autologous Adipose Tissue for Cell- and Tissue-Based Therapies: Concise Review. Stem Cells Transl Med. 2019;8(12):1265-1271.doi:10.1002/sctm.19-0166レビュー(抄録):酵素によるSVF分離は多くの国で最小限の操作を超える処理とされ、たいてい規制当局の審査下の臨床試験に限られる。酵素を使わない機械的処理の選択肢
- Hughes MC, Williams GM, Baker P, Green AC. Sunscreen and prevention of skin aging: a randomized trial. Ann Intern Med. 2013;158(11):781-790.doi:10.7326/0003-4819-158-11-201306040-00002903人の無作為化試験(抄録):毎日の日焼け止めで4.5年間の肌の老化の進みが24%少ない。根拠のしっかりした基本ケアの例
この記事について
この記事では、一般的な医学情報とボニータクリニックの診療方針を分けてご説明しています。判断は一人ひとりの状態によって変わるため、診察の代わりにはなりません。


